新しい年のむかえかた。

いつの頃からだろう、年が変わるその瞬間を外でむかえるようになったのは。

 

若い頃は紅白のさんざめき、ゆく年くる年の静寂、そして新年というおきまりのコースで、それはそれで風物詩としては大いにありなのだけど。

もしかすると年齢を重ねて、過ぎていく1年とやってきた1年が以前より貴重に感じられるようになったからだろうか。少し丁寧に新しい年を迎えようという気持ちが生み出した習慣のような気がする。

 

ベランダだったり、庭だったりその時の住居によって場所は変わるのだが、

年があらたまる少し前に、ちょっと厚着をして屋外に出る。大抵はそれまで飲んでいた酒のグラスを手にしながら。

なぜだか大晦日の東京の夜は、いつも穏やかだ。

冷えきって澄んだ空気が心地よい。

 

そして、ひとりで静かに新年の訪れを待つ。

良かったこと、悔いの残ること、この一年にあった出来事を振り返りながら。

今まさに過ぎ去ろうとしている一年を受け入れていく。

やがて、その瞬間が訪れ、遠くで除夜の鐘が聞こえ始める。

近くに寺などなかったはずなのに、年が変わるその瞬間だけはいつも静かで、

耳をすますと聞こえてくる鐘の音。その音を聞くのがとても好きだ。

次に撞かれる鐘の音を待つ間に、新しい年はこんな年にしていきたいなあ、とぼんやりと考える。

初詣も行かないし、親きょうだいとも集まりはしない淡白な年末年始なのだが、

自分にとってはとても貴重な年越しの儀式なのだ。

 

まあ、その時間にはテレビの音量を消せと言われる妻がこの習慣をどう思っているかは、定かではないのだが。

 

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