バレンタインデーにまつわる話

おっちょこちょいでよく怪我をしていた父に、絆創膏型のチョコレートをあげたことがある。
娘の想いがこもったバレンタインチョコはしばらく放置され、やがて家にやってきた電気工事のお兄さんに貰われていった。
私のバレンタインデーはこの年をもって終了したように思う。

そろそろバレンタインデーだということは、2月1日に日経新聞に掲載された「日本は、義理チョコをやめよう。」というGODIVAの広告で思い出した。
とっくの昔に義理も本命もやめてしまった私が偉そうにいえた立場じゃないが、義理チョコはめんどかった。お世話になっている方にあげようとすると、お世話になっている方だらけなのでキリがないのだ。だからすっぱりやめて本命だけに力を注げるなら、絶対そっちのほうがいい。

父は相変わらずおっちょこちょいで、数年前に階段から落下してしまった。老後、のんびり旅行でもしてほしいなと思っていた矢先、自力では歩けなくなってしまった。
人工関節手術を何度勧めても、これ以上悪くなったら怖いといって、首を縦に振らなかった。それなのに突然、手術すると決めた。

「お母さんが倒れた時に、抱き起こすこともできないので、手術することに決めました」

と、私へのメールに書かれていた。

今日、入院している父を見舞ったら、母からのチョコが置いてあった。
父は、多分バレンタインデーなんて気にしていない。今年のホワイトデーにお返しをするとも思えない。
それでも、父は母のために決断をした。そして母は、そのことを知らない。

夫が職場からチョコをもらって帰宅してきた。
しかもなんだか、得意げに。
のんきなものだ。

 

※写真はイメージです。

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